カフェでベーカリーで時々屋台。coffee, bread, veggie dishes, and mobile kitchen.

あとがきにかえて:catering for Erykah Badu & her band/crew2010/04/21 11:22

Photo by Positive ProductionYokohama

今回難しかったのは、エリカがヴィーガンであるだけでなく、塩を摂らないという事でした。そして塩は摂らないけれど、濃い味で、という要望だったのです。もともと料理に塩はそんなに多用しないので、素材のおいしさを生かした料理で良いのであれば何の問題も無かったんだけれど、濃い味ということで悩んでしまった。そして出来上がった、あれこれ手を尽くした1日目の料理。

でも実際エリカのライブを観て私は感じました。きっと彼女は、おいしい素材を使えば、とくに味が濃いとか薄いとかいう事は関係なしに、喜んで食べる人であるに違いない。私は自分の腕と自分の”おいしい”を信じることにしました。だから2日目の料理は何も迷う事なく、さくさくと進みました。いつもの自分の料理をつくったのです。

でも、いつもの自分の料理でありながら、何かをひとつ越えた、という実感がありました。あの2日目の私の料理は、すっ、としていて、余計なものを一切纏わず、なのにキラッと輝いている、繊細な面持ちながらも芯の強い女性のようでした。この日の為に全身全霊を捧げたけれど、その味は決して押し付けがましくはなかったと思います。

エリカのライブは、今まで経験してきたものとは全く違いました。立っていられない程の瞬間もありました。それは勿論、彼女が素晴らしかったからなのですが、少しでも裏方として、この素晴らしい日に関わることが出来て、あのときの私は感無量だったのだと思います。

今回、この素晴らしい機会をくださったPositive productionとスタッフの皆さん、カノムパンNY特派員めぐちゃん、野菜を送ってくれた旧友こうじくん&なおちゃん、当日大きな力になってくれたあゆみちゃん、べんちゃん、まりこちゃん、そらたん。頑張った岳くん、応援してくれたお客さん、友人たち。そして"You are amazing."と言ってくれたErykah Badu、皆様に感謝を捧げます。

Lot's of LOVE

epilogue:catering for Erykah Badu & her band/crew2010/04/20 18:27

Photo by Positive ProductionYokohama

真っ白な灰になっちまったBOSSをジフィーに乗せて帰路へ。

終わったらErykahと写真撮ろうとか、聞きたい事とかあったんだけど、僕がなんだか勝手に色々ぶっちぎっちゃったみたいな気もしてきて反省。

ふと道路表示見たら羽田って書いてる。反対方向の高速のっちゃった!すまんBOSS。すぐ降りたけど、当然ナビないしマップルも持って来てない、ぬかった!

大型トラックや、ゲスいミニバンに煽られまくる。疲れて何だか道が良くわからなくなって来たのでとりあえず川崎に向かうと、やっと横浜・横須賀って表示発見。早く帰りたい…


今後の課題。もっとプレゼンテーションというか、セールスというか、自己表現しないとな。インド商人を見習って1000回断られても1001回目を信じて売り込まなきゃね、「ハロー、マイフレンド」って。せっかくの料理も食べてもらわない事には始まらない(もちろん食べてくれたけど)

後、いつもの事だけど、記録写真とかほとんど撮ってる暇無い。撮れたら面白いんだけどね。どうしたもんだろうか。


この2日間は、なんだかロバート・アルトマンの映画に出てるみたいだったよ。2日間参加出来て本当に良かった。1日目のアウェイ感、2日目の親近感、きっとショウビズは3日やったらやめられなくなる。3日目があったら中毒になってたよ、きっと。

最後にBOSSの後書きへ続く

day 2nd:catering for Erykah Badu & her band/crew2010/04/19 16:23

Photo by Positive ProductionYokohama

今日は横浜ベイホール。近いのでちょっと時間に余裕がある。

昨日の経験を生かした準備をする。

  • 如何に温かい物を、火を使わずにタイミング良く出すか。これはホットプレートと炊飯器で対応だ。去年ageHa出店時にケバブ屋さんから学んだ方法。
  • 昨日より狭いバックステージと、おそらく期待出来ない箱スタッフのホスピタリティを考え、迅速な搬入搬出パッケージング。筆記用具、ハサミ、栓抜き、ラップ、輪ゴム。延長&電ドラも忘れずに。
  • バンドたちのメニュー変更。サラダは少なめなで良いしアメリカ人に米は必要ないけどピクルスは必須。そんで食べ慣れた物しか食べない。
  • 持ち帰り用にランチボックスや紙皿を用意。

さあ今日はジフィーで出動だ。あまり早く行かなくても良い事が分かったから、準備万端で落ち着いてけ。雨は降ってないけどやっぱり肌寒い。

渋滞も無く4時過ぎに現場到着。オールスタンディングだからか、もう行列が出来てる。機材搬入口からエレベーターで一気に運び込む。今日の箱スタッフは親切!狭いけど、やりやすそうだ。まずは電源チェックOK。今日のヘルパー、英語ばっちりマリコちゃんと娘のソラタン到着。

4時半頃からリハスタート。バンドクルーの食事は、やはり廊下にセッティング。昨日観たから、誰がバンドで誰がコーラスで、とか分かったので挨拶しながら料理の並べ方の工夫をしてイラスト入りメニュー壁に貼る。セッティングしてると覗きに来て「お前らがつくったのか?」なんて聞きながらhiphop greeting。ちょっとは顔覚えてくれたらしい。さっそくピクルス摘んで行く。やっぱり!

ノンビーガン食のメニューは

  • フライドチキン、ポテトと人参のローズマリー風味(ホットプレートで常時アツアツ)
  • チリビーンズ(超アメリカンテイスト、炊飯器で保温)
  • 季節のサラダはサウザンアイランドドレッシング(気取ったドレッシングはダメな)
  • ピクルス(ガーキン)
  • パン
  • フルーツ盛り合わせ
  • チョコチップとサワーチェリーのマフィン、ホイップクリーム&レインボウスプリングル

リハが終わって帰って来たバンドクルー。今日は食いつきが良い。アツアツのフライドチキンを3本4本サラダと持って行く。コーラスの娘は昨日のロウチョコレートボール食べながらやって来た。マリコちゃんとソラタンが英語で説明しながらサーブする。受けが良い。僕も横から「うまいぞ」なんていったら「分かってる、メーン」プロモーターの社長は今日もにこやか。

Erykahがホテルを出るのは6時半で、今日は楽屋にセッティング。アフリカの布を敷く。食べ終わったギターやベースとちょっと話す余裕もできた。

ソルトフリーのビーガンメニュー

  • 豆腐のグリルwithマンゴーサルサソース
  • カシューナッツソースのサラダ
  • ツナサラダ(not tuna)
  • ビーツの冷製ポタージュ
  • 塩無しパン
  • ビーガンチョコマフィンwithトーフクリーム
  • 沖縄サツマイモのグリルとデーツの盛り合わせ
  • フルーツ盛り合わせ

このメニューを紙に書いてテーブルに置き、出来るだけ地元のオーガニックな野菜や友だちの農家から送って貰った野菜で、どれもソルトフリーだ、とか書いた紙を壁に貼った。

Erykahが入る予定の楽屋がタバコ臭いので社長が消臭スプレーしまくる。エアコンのフィルタを掃除したらと提案。スタッフがフィルタ掃除。今日もMISIAの花が届いてる。花があるって良いよね。

怖い顔した人が料理を眺めながらマフィンあるか?ていうから「冷蔵庫にあるよ、ビーツのポタージュもね」「グッド。俺ビーツ好き」だって、そんで「後15分でErykah到着だから、終わったら出ろよ」昨日よりは早い到着かな。ウィーブヘアのコーラスの娘に「彼女は来た?」て聞かれた。「まだだよ、15分後」顔が緊張してる。

廊下の椅子に座って待っていると怖い顔の人を先頭に、ナニー&ベビー、ファットママ、若い娘。そしてErykah。今日のErykahはにっこり挨拶して楽屋に消えて行った。スタッフが、Erykahがピクルス摘んで楽屋に入ったって。それからすぐまた摘みに来たって教えてくれた。イエイ!でもそれはバンド用のだけどね!

今日は終演後に食事するそうだ。さあ、後はライブを楽しもう。今日はVIP席。まだErykahは現れない。社長さんが満員のフロアを煽る。DJがさらにウォームアップ。

始まる前にトイレに行こう。で出て来ると、スタッフが「ハサミは無いか?」僕&BOSS「持って来てます!エーちょっと待って、どこだっけ」ファットママがやって来てスタッフにブースカいってる。「あった!」ハサミを渡すとファットママは楽屋に消えてった。

フー。よしVIPに戻るぞ。お、バンドが出てきた。音が鳴る。そしてErykahも来た。昨日よりもっと近く見える。シルクハット、ざっくりしたコート、スェットパンツ。そしてライブが始まった。

バンドもErykahも昨日よりリラックスしてる。客席のコール&レスポンスも熱い。昨日のライブは最高だと思ったが、さらに上を行く最高さだぜ!途中Erykahがコートを脱ぐと、ビリビリ切った白いTシャツ!ひょっとして渡したハサミで切ったんじゃね、イエアー!

10時半頃、バックステージへ。ライブはまだ終わらない。料理の持ち帰りを出来るよう移し替えながら片付け。今日のライブは2時間で終わるか分からないって。マリコちゃんとソラタンは電車なのでここでサヨナラ。サポートありがとう。アンコールの間に搬出。うちのBOSSはすべてやり遂げ、「明日のジョー」(真っ白な灰状態)になっちまった。お疲れ様!

ライブが終わってバンドクルーやコーラスたちはさっさと身支度。声を掛けて、挨拶する。またね。みんな笑顔。やっとちょっと打ち解けた感じがした。

Erykahは楽屋で食事をしてるが、どんどん楽屋口に人が集まって来た。みんな楽屋で一緒に写真を撮りたくて並んでる。

僕らも撮っていいよって言われてたけど、もうBOSSは力尽きてる。それに料理さえ食べてもらえれば充分だ、そう思った。早くここを出なきゃ。

世話になったスタッフに暇乞いして、とにかく人をかき分け、現場を離れた。さあ家へ帰るぞ。

続く

day 1st:catering for Erykah Badu & her band/crew2010/04/18 15:41

Photo by Positive ProductionYokohama

前々日、前日は幸い定休日なので横須賀、鎌倉と買い出し&仕込み、フー。そして当日。朝からパン焼き。冬みたいに寒くて雨の中、ヘルパー、アユミちゃんの車でzepp東京へ。ところが出がけに「キュウリとセロリとほうれん草のジュースは?」と電話でリストに無いオーダーが。ごめん、もう無理。あと、家中のトングが行方不明。途中どっかで買わなきゃ。

4時に到着。プロモータースタッフの人たちと挨拶して、早速準備に取りかかる。アユミちゃんスタッフに人気。バンドのリハはもう始まっていた。でもどの人がバンドの人とか全然分からん。6時からサーブ予定。もう一人のヘルパー、ベンちゃんも到着。

楽屋があんまり殺風景なので家から持って来たアフリカの布をソファーやテーブルに掛ける。でもセッティングは楽屋前の廊下になった。ビーガンとノンビーガンのテーブルを分け、バナナの葉を敷く。ディナーの依頼だったので、色々温める用意をする、と火は使えないってzepp側からクレーム。一応事前に確認したんだけどな。電源もあまり貰えないようだが、炊飯器の保温はOK。仕方なく火は雨降る駐車場で。zepp東京側スタッフは冷たい感じ、お前らも保温してやろうか?

ノンビーガン食のメニューは

  • 季節の野菜サラダ、カランツビネガーソース
  • 照り焼きチキン
  • ビンナガマグロのグリル、プッタネスカソース
  • ポテトと人参グリルローズマリー風味
  • 米とパン
  • フルーツ盛り合わせ
  • チョコレートブラウニー、ホイップクリーム

事前リストによるとバンドクルーもちゃんとしたものを食べたいとの事。が、勝手にピザ出前して食べてやがった!こっちはいつでもアツアツで食べられるように駐車場行ったり来たりしてるのに。おまけにゲータレードばっかり飲んでる。そう彼らは見事にアメリカ人だったのだ。そんでピクルスないか?とか醤油は?とか。ベンちゃんにお使い頼む。

ソルトフリーなビーガンメニュー

  • ワダ、ビーガンミートソース
  • 沖縄サツマイモと人参、ジャガイモのポリヤル
  • ポロネギとマッシュルームとドライトマトのマリネ
  • ビーツとコーンのポタージュ
  • フルーツ盛り合わせ
  • 塩無しパン2種
  • ビーガンブラウニー、トーフクリーム
  • ロウチョコレートボール

しかしErykahはなかなか現れない。バックステージの人はどんどん増えて行く。誰なんだ、あんたたちは?だいぶ遅れてErykahたち登場。ナニーが抱いた赤ちゃんは泣いてる。おっかないファットママがメイプルシロップを要求。スタッフ買いに走る。今度は魔法瓶振ってお湯はどこだっ!て。開演はすでに押しているが、Erykahは少し横になりたいそうだ。結局用意したディナーは終演後という事に。みんなナーバスになってる。ソニーの人と話した。名刺忘れたので代わりに缶バッジ渡した。

疲れちゃって正直観なくても良いかと思ったが、9時近くなって遂にステージが始まると、それはもう疲れも吹き飛ぶ程、格好良かった。Erykahはシルクハットに黒のトレンチコート、黒のハイヒールに赤いソックス。僕らは2階脇のよく見える場所から堪能したんだけど、1階席ではみんな写メばしばし撮ってるのが見えた。最近はOKなのか?

アンコール中にこっちは引き上げて、急いで食事をテイクアウト出来るように作り直す。2時間近く演奏は続いたが、11時には完全撤収だから、後でホテルに帰って食べられるようにだ。ちゃんと食べてくれるかな。洗い物をベンちゃんとアユミちゃんがバンバン片付けて行く。

2日目は横浜ベイホールでバックステージはもっと狭い。帰りのアユミちゃんの車で、BOSSは保温法やメニューなど明日の対策を練り直してるようだ。僕はプレゼンテーションを練り直しだ。

今日は、ショウビズ知ってるベンちゃんとアユミちゃんに本当感謝。

続く

days before:catering for Erykah Badu & her band/crew2010/04/18 13:24

pv

プロモーターさんから打診されたのが3月後半。東京・横浜の2日連続、ビーガン食&普通食の2種類。こりゃハードだなあ、でも人数少なめ。まだこの段階では誰のコンサートかは知らされなかったが、BOSSは受けても良いといった。音楽系ケータリングはずっとやりたかった事だったんだって。

FAXで長いウィッシュリストが転送されて来た。ケータリング相手はErykah Baduと赤ちゃん&バンドメンバーたちと分かる、ワオ!そしてErykahはビーガンなだけでなく塩も取らない事が判明、ワオ×2!塩の代わりの指定調味料が日本では流通していない物2種類、ワオ×3!コンペでもしているのか、この時はまだ仕事決定していない。早く決めないと調味料空輸しても間に合わないのに ワオ×4!

NYにいるメグちゃんに応援要請し、バンドが好みそうな普通食のリサーチも続け、日々の仕事とチャハットでの出店、取材をこなしつつ、決定を待つ。Erykahも新曲PVで物議をかもす。来日中止か?

いい加減決まんないと空輸出来ないし、今月のスケジュールだって発表出来ないぞ、って焦って来た4月8日ついに決定。すぐさまメグちゃんにEMSで調味料送ってもらう。他にも国内で調達出来る物をあちこち発注。twitterで発表、応援メーセージ多数。駐車場契約、ワオ×5!

BOSSは毎日レシピを練り続ける。この近辺の農家は畑の入れ替えで野菜が足りないので沖縄のナオちゃん&コージ君に依頼。発注品が続々届く。ヘルパー選考。全部BOSSがやってんのに、こっちが倒れそう。したらBOSSが天空洞の鍼灸をプレゼントしてくれた、ワオ×6!

続く

今週の金・土・日はお店は閉まってます!2010/04/14 16:44

素晴らしいニューアルバム「New Amerykah Part Two : Return of The Ankh」を発表したErykah Baduさん。

4月16日(金)17日(土)は、Erykah Baduさんの来日ライブがあります。そしてカノムパンはErykah Baduさんとベビーとクルーたちへ、その2日間ディナーのケータリングをします!Waooooooooo!

なので今日明日は買い出しと仕込みして日曜は振替休業。つまり今週の金・土・日はお店を休みます。ご注意ください。